IAT総経理張立強氏インタビュー: 自動車製造新勢力は「清風」であり、「竜巻」でもある
ソース: 作者: 日付:2021-06-10 読み取り:616
「自動車製造新勢力はITの考えに基づき、自動車業界に新しい『清風』を吹き込んだが、それと同時に『竜巻』でもあり、既存のOEMに大きいな衝撃を与えた。」先日、A株初の完成車設計企業IATの総経理張立強氏が『証券日報』のインタビューを受けた時にそう語った。
張立強氏から見て、蔚来や小鵬が代表する第一代の自動車製造新勢力と比べて、今はHUAWEI、Baidu、Xiaomiなどの科学技術&IT会社が代表する次世代の新勢力は実力が強いので、成功する可能性も高い。新エネ車業界が発展していた五六年間の観察、思考及び自分自身の資源の積み重ねを通じて、彼らは自動車製造を選んだのは群集心理ではなく、理性的な判断である。
自動車業界の「黒幕」
IAT北京本社構内にデザインが斬新なコンセプトカーモデルが多く展示されている。
張立強氏が『証券日報』の記者に、「これらの車種は全てIATが設計したものであり、自動車の完成車研究開発こそ今までIATを支えている最も優位性のある業務領域である。室内外のデザイン、工程構造、性能向上、試作車完了後の各テスト検証及びパワートレインの研究開発と生産などを含め、自動車研究開発における全過程をカバーしているので、OEM側に払い出してから直接生産できる」と伝えた。
IATの前身は2002年に創立された北京精衛全能科学技術有限公司であり、主に完成車、自動車用アッシー及び部品の研究開発に携わっていた。2007年、セコイア・キャピタル、金沙江創業投資などの投資によってIATが創立された。2020年、IATは深圳証券取引所で上場し、中国初の独立した自動車設計上場会社となった。そして、独立した自動車設計会社として完成車研究開発「ターンキー」サービスとエンジン/パワートレイン研究開発・製造を先駆けた。
「IATが自動車産業チェーンの最頂点にあり、OEMは全部我々の川下企業であるといえるでしょう。」張立強氏によると、完成車研究開発は「黒幕」にあるが、実際には、建築業界における設計院のような存在で、自動車産業に欠かせない一部である。各自動車メーカーの総合力と研究開発能力にばらつきがあり、そこで、IATのような独立した自動車研究開発会社がOEMに専門な研究開発と設計サービスを提供できるので、完成車の研究開発は自動車産業チェーンに合理的な存在となっている。
現在、IATの取引先はすでに国内の主流OEMをカバーしている。一汽、上汽、北汽、広汽などの従来のOEMだけではなく、蔚来、小鵬などの自動車製造新勢力も含まれている。
従来の認識を覆したのは、中小規模の自動車メーカーだけではなく、実はIATの取引先の中に研究院、技術センターなどを持っている総合力が強い大手自動車メーカーも完成車研究開発会社からのサービス需要がある。「多くの自動車メーカーが軽く何千人の規模があり、強い研究開発能力を持っているが、我々のサービスが要らないわけでもない。」
自動車研究開発には複数の領域に分けられ、大手自動車メーカーであっても全ての領域に優れているわけではない。そこで、IATが自動車研究開発に長年取り組んでいて、自社の技術優位性が固まっている。また、大手自動車メーカーでは、車種の系列化により人員や資源側が全車種に対応しかねる状況である。
自動車製造新勢力の突入
今年に入ってから、Apple、HUAWEI、Baidu、Xiaomi、Skyworthなどの会社が自動車製造を始めるとの公表や噂が出た。これはIATにとって快報であるに違いない。
張立強氏が『証券日報』の記者に、前から蔚来、小鵬、愛馳、威馬などの新勢力はIATの得意先であり、今台頭している新たな新勢力もIATと何回も交渉したと語った。「新勢力にとって、自社製品は市場投入の初期段階なので、最初の一つ目や二つ目の車種が理想的ではないなら、壊滅的なダメージとなり、再開のチャンスがなくなるかもしれません。それに対して、従来の自動車メーカーがもう何年間積み重ねてきたので、一つの車種がよくなくても、市場に許される可能性が高い」と張立強氏が述べた。
張立強氏から見ると、前の蔚来、小鵬、理想など「車を作りながら融資する」第一世代の新勢力と違って、今回の新勢力の背後には強い保障資源がある。その資源とは、未来に作る車にあるのではなく、業界で今までの積み重ねにあるのである。しかも彼らの自動車製造モチベーションは短期間内で儲かるに限らず、自らの生態系を豊かにする目的もある。また、今回の新勢力も前世代から経験や教訓を学ぶこともできる。
「今回の新勢力は長時間の観察や思考をした上で、自分が入るタイミングになったと判断し、ただの群集心理ではない。」と張立強氏が述べた。
張立強氏から見ると、従来の自動車メーカーと違って、新勢力の優位性が明らかである。彼らは試しに恐れず、冒険と挑戦の勇気を持っている。「新勢力が新しいものを試す勇気があるから、IT領域オープンな考えに基づき、実現できなさそうなアイディアでも、ソフトウェアとハードウェアのエンジニアに考えさせ、最終的に実現できたのである。しかし、従来の自動車メーカーはコストを考慮してやらないかもしれない。」
従来の自動車メーカーは消費者の外出問題を解決したが、新勢力が自動車業界に参入したことで、消費者の精神面にある多大な需要を満たした。
張立強氏は新勢力自身の弱点についても避けない。自動車業界にはそれなりの属性があるから、新鮮な体験を除いて、性能に関する技術要求もかなり高い。そして、生産製造技術の一致性、より鍛えられたチームなど、それらの要素は新勢力にとって大きなチャレンジである。もちろん、新勢力も色々なやり方で補おうとしているが、良い管理体制と技術育成計画がなければ、最終的に理想的な結果となれない可能性が高い。
張立強氏は新勢力の突入による従来の自動車メーカーに与えた衝撃も見た。「新勢力がまだ車を作り出していない段階には、様子を見ている従来の自動車メーカーは多かったが、車が出来上がった後にはベンチマークするようになる。現在、我々は従来の自動車メーカーにサービスを提供している時に、新勢力とベンチマークしながら、製品の定義について一部革新となる。」さらに、新勢力の突入による従来の自動車メーカー側も研究開発費に力を入れたと張立強氏が述べた。
「新勢力の突入は従来の自動車メーカーにとって実にいいことである。魚群の中にナマズ一匹が入ったと同じように、魚全体が気を引き締めて、マンネリ化になってはいけない。今、一部従来の自動車メーカーも変化を求め始めている。例えば、車体の色をより鮮やかにしたり、インテリアもおしゃれにしたりして、人と機械の対話機能も標準配置となった。競争がなければ、商品力も向上できないでしょう。」と張立強氏が語った。
「ソフトウェアで自動車を定義する」という風潮に合わせる
現在業界で流行している「ソフトウェアで自動車を定義する」という風潮に対して、張立強氏は何年間の発展を経て、今自動車業界がすでにソフトウェア領域においてある程度の基礎を築いたと述べた。ソフトウェアで自動車が定義される最終的な目標はソフトウェアで自動車を制御することである。将来、自動車はただの交通道具だけではなく、車という属性以外にインテリジェント端末になる可能性がある。車一台分としての価値において、ソフトウェアが50%を超えるかもしれない。
「ソフトウェアで自動車を定義する」という風潮の中で、IATのような完成車設計会社に対する要求も高まった。「我々は『ソフトウェアで自動車を定義する』がもたらしたメリットを三年くらい前に体験したので、五年前に制御システム、E/Eアーキテクチャ、ソフトウェアサービスに基づくSOAアーキテクチャなどを配置して、市場にも投入した。取引先のソフトウェア分野の能力を向上させ、より高い価値を作り出した。」と張立強氏が述べた。「ソフトウェア定義自動車」という需要はIATの規模を拡大しただけではなく、業界での総合実力も上げられた。
完成車研究開発設計会社として、人材がIATにとって一番重要な資産に違いない。IAT今の従業員数は1700人くらいで、その中に技術員が85%以上占めている。2020年、研究開発に8260万元を投入し、前年比40.16%増である。研究開発の投入資金は売上の10.06%まで占めている。IATは自動運転、スマートコックピット、ハイブリッド技術、三電技術などにおいても良い成果を上げた。
完成車研究開発以外に、IATは新エネ車部品製造業務にも取り組んでいる。2020年11月にIATが「会社が特定対象にA株株式を発行する条件を満たすことに関する議案」を発表し、7.9億元の資金を募集すると予測している。先進性産業化研究開発プロジェクトとIAT成都新エネパワーシステム及び部品生産基地建設プロジェクト、及び柳州菱特第1期工程年産5万台V6エンジン技術革新プロジェクトを中心に展開する。先日、IATがすでに当議案の修正案を更新した。
IATの子会社である柳州菱特が研究開発し生産したV6エンジンは国内において自主的な知的所有権を持っている少数のV6エンジンの一つであると張立強氏が記者に伝えた。柳州菱特が研究開発したV6エンジンは多くの自動車メーカーで搭載試験が完成し、そして、一部の自動車メーカーの依頼で大量生産となっていて、2021年に生産量も上げ続けていく。また、子会社の四川IAT新エネは純電動、プラグインハイブリッドなど新エネパワーシステムの研究開発と製造に取り組んでいて、今は既に取引先に部品を供給し始め、OEM何社のサプライヤーとして指定された。
「部品製造に進出したのは主に以下の考え方に基づいている。まず、自動車設計は労働集約型の業務であり、人数が一定規模に達すると限界効用が逓減するので、新しい業務を切り開く必要がある。また、IATが生産したコア部品が含む技術力は高く、会社にそれなりの研究開発と設計能力が備わっているから、生産の収益率も高くなる。これも中国が新エネ自動車産業を推進する政策にも合っている。」と張立強氏が説明した。
「IATは自動車開発領域における全体ソリューションの提案者を目指している。実際には、我々はすでにその道を歩んでいる。将来も業務内容をもっと豊かに、より多くの能力を高めていくでしょう。」張立強氏が記者に決意を表した。
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